マンションを売却した場合、引き渡しをしたら終わりではなく、自分で確定申告をする必要があります。ですが、誰もが必ず確定申告をしなければならないわけではありません。
通常、サラリーマンであれば会社が行ってくれる作業なので、確定申告をしたことがない人も多いでしょう。そのため、確定申告の方法が全くわからないという人は多数存在します。
近年ではインターネットから確定申告ができる方法も登場しており、気軽に確定申告が行えるようになりました。
この記事ではマンションの売却をした場合、確定申告が必要なケースと不要なケースを紹介し、確定申告を行う流れや手続き方法についてもご紹介していきます。
マンション売却で売却益が発生したら確定申告が必要
まず、マンションを売却して確定申告をしなければならないのは、「売却益」が発生した場合になります。
マンションを売却したことで売却益がでれば一時的だとしても収入があったという判断がされるため、確定申告によって国に対して自分がこれだけの所得がありましたということを通知し、それに見合った税金が課されるというわけです。
そのため、売却益が出た場合はしっかりと確定申告を行わなければなりません。
売却によって損失が出た場合は確定申告は不要
先ほど説明したように、確定申告が必要なのは売却益が出た場合です。つまり、マンションを売却して、損失が出た場合には確定申告をする必要がないということになります。
しかし、損失が出た場合であっても確定申告をすることで、節税できる可能性があるということは知っておきましょう。
例えば、マンションの売却で損失が出た場合であっても、他の利益がでている所得からその損失分を差し引くことができます。これを損益通算といいます。つまり、損益通算をすることによって節税をすることが可能です。
損益通算した場合は、すでに支払っている税金を後で還付してもらえます。
このような特例を使う場合は確定申告をしなければ利用することができないので注意しましょう。
確定申告をしなかった場合は?
もし、売却後もバタバタしていて確定申告ができなかったということもあり得るかもしれませんが、売却益が出た場合には必ず確定申告をしなければなりません。
もし確定申告や税金の支払いを怠ってしまうと以下のようにペナルティとして税金が課されます。
延滞税
延滞税は、確定申告後に納税期限を超過した場合に課税されるもので、期限超過から2ヶ月は年率約7%、期限超過から2ヶ月以降は年率約14%支払うことになります。
無申告加算税
無申告加算税は、その名の通り確定申告をしていない場合に課税されるもので、かなりの大金を払う必要が出てきてしまう可能性があります。
納付すべき税額の50万円までの部分に15%、50万円以上の部分に20%の割合で算出した金額を支払うことになります。
重加算税
もし、確定申告をせず悪質な所得隠しと判断された場合には、35~40%の税率で重加算税が課税されます。
確定申告の必要書類を紹介
それでは、実際に確定申告をするにはどのような書類が必要になるのか詳しく見ていきましょう。
確定申告を行うには以下の書類が必要になります。
不動産の購入時と売却時に交わした書類は一式用意しておきましょう。売却時にかかった費用(仲介手数料など)もしっかり計上しなければ課税対象となる金額が増えてしまうので、領収証関係も忘れずに用意してください。
他にも、税務署で入手可能な「確定申告書B様式」「分離課税用の確定申告書」「譲渡所得の内訳書」の書類も必要になるので、最寄りの税務署に行って取得しましょう。また、税務署のホームページからダウンロードして取得することもできるようになっています。
確定申告をスムーズに行うために、事前に必要書類をしっかりと揃えておきましょう。
マンション売却後の確定申告をする流れ
続いては、確定申告をする流れについて順を追って解説します。
確定申告できる期間を確認
まず、確定申告できる期間を確認しましょう。
原則として不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日の1ヶ月間が確定申告できる期間となりますが、年により若干、日にちがずれることもあります。
2023年(令和5年)提出分(令和4年度分)の確定申告期間は以下の通りです。
郵便等で送付する場合は、消印の日付が提出日とみなされるので、この日付が申告期限内である必要があります。郵送の場合は日にちに余裕をもって送るようにしておくことが大事です。
確定申告書を作成
先ほどご紹介した必要書類を揃えて、確定申告書の作成を行います。もし申告書の作成方法が分からない、悩むという場合には税務署のホームページや申告書作成の手引きを参考にすると良いでしょう。
また、地域によっては確定申告についての無料相談会を行っている場合があるのでそちらに足を運んでみると安心かつ確実です。
税務署に提出
書類の作成が完了したら、税務署に提出をします。税務署への提出方法は、税務署や確定申告会場にて直接提出する以外にも、郵送やe-taxというサービスを使った電子申告もあるので自宅で簡単に申告できるようになっています。
もし売却益が出ている場合は、金額に応じた所得税を支払えば確定申告は完了です。
方法に関係なく申告期限は共通しているため、期限を超過しないよう、時間に余裕をもって確定申告を完了させましょう。また、売却益による所得税の支払いは確定申告期間内に行い、住民税は翌年6月から順次納付することになります。
マンションの売却益の計算方法は簡単!
続いては、マンションの売却益はどのようにして計算するのか解説していきます。
マンションの売却益の計算方法は以下の通りです。
売却価格から取得費(購入時にかかった費用)、諸経費(売却時にかかった費用)を差し引き、プラスになった場合は売却益、マイナスになった場合は売却損と思って大丈夫です。
このように、売却価格がそのまま売却益になるわけではなく、上記の計算によって実は売却損が出ているということもあるのでしっかりと計算しましょう。
売却益を計算するにあたって必要になる取得費、諸経費について以下詳しく解説します。
取得費の算出方法
まずは取得費(購入時にかかった費用)の算出方法です。
算出には概算法と実額法という2つの方法があり、マンション売却のケースによって使われる方法が異なるので気をつけましょう。
概算法は売却価格の5%を取得費とする方法で、マンション購入代金などが明確に分からないというような場合に使われるケースが多いです。
実額法は、マンション購入時にかかった費用の合計額から、減価償却費を差し引いて厳密に取得費を計算する方法です。減価償却とは、建物などの固定資産を決められた年数に分割して経費計上する税制上の考え方のことです。固定資産は年数が経つにつれ価値が下がっていくものなので、減価償却をして現在の正確な建物の価値を算出する必要があります。
つまり、実額法で計算する場合は、マンション購入にかかったもろもろの費用の総額から、建物の減価償却費を引いたものが取得費となります。
実額法で計算する際に使う減価償却費は次の式で求めることができます。
概算法と実額法のどちらを用いるかは自由であり、取得費が高額になるほうで計算して大丈夫です。基本的にはより詳細に計算できる実額法を用い、取得費が定かではない場合は概算法を使うという使い分けがされています。
また、取得費にできる費用は以下になります。
リフォームなども取得費に当てはまるので、忘れないようにしましょう。
諸経費
諸経費(売却時にかかった費用)には、以下のものがあります。
マンション売却時にかかった費用に関しては必ず領収書を保管しておくようにしましょう。不動産会社に支払う仲介手数料や、売買契約時の印紙税なども経費に計上することができます。
登記にかかった費用や、登記手続きを司法書士に依頼した場合の報酬なども諸経費として計上することができ、他にもマンションを売却するまでにかかった活動費も計上できるケースもあります。
どのお金が経費になるのかわからない方は、不動産会社や税理士に相談することをお勧めします。無関係なものを経費として計上しないよう注意してください。
マンション売却で節税する方法は?
マンションを売却して利益が出た場合は必ずその所得分の税金が課されるのかというと、そうではありません。
日本の制度では、売却益(譲渡所得)に対して控除できる様々な特例が用意されています。その中で、マンション売却の際に利用できる特例を以下ご紹介します。
特別控除
居住していた不動産の場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という特例を適用できる可能性があり、この特例を使うことができれば売却益から3,000万円を控除することができます。
マンションの場合、以下が適用を受けるための要件になります。
この特例を使うことができれば大幅に売却益を抑えることができるので、適用できるのかしっかりと確認してみましょう。
特別控除を受けるには、条件を満たしていれば自動で適用されるわけではなく、確定申告が必須です。
控除を適用するには、確定申告時の書類に追加して他の書類が必要になることもあるため、不明な点は税務署に問い合わせて確認しておくと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
マンションを売却した際の確定申告について詳しくご紹介しました。
不動産を売却して、売却益(譲渡益)が発生した場合は必ず確定申告を行わなければなりません。
また、売却益が発生していない場合でも、確定申告を行えば特例を利用できる可能性があるので適用要件をしっかりと確認し、確定申告を行ってください。
確定申告をする時間がなかったり、正しく申告できるか不安な方は税理士に代理で行ってもらう事も可能です。また、税務署によっては無料で確定申告の相談ができる会場を設けてるので、税務署に問い合わせてみると良いでしょう。
確定申告には期限があります。あとになって慌てずに済むように、早めの申告を心掛けましょう。