マンションを売却する主な方法として仲介と買取の2つがあります。
買取は仲介では売れない物件を素早く売却できる点がメリットですが、リスクも多いので注意が必要です。
買取相場、買取に向いている物件の特徴、高く買い取ってもらう方法とともに買取の注意点についても詳しく解説していきます。
マンションを不動産会社に買い取ってもらうことを検討している方は是非ご覧ください。
マンションの買取とは?
マンションの買取とは、その名の通り不動産会社が直接マンションを買い取ることです。
買取は、不動産会社がマンションを売りたい人と買いたい人をつなぐ仲介とは明確に異なります。
まずは買取の特徴と、仲介との違いについて詳しく解説していきます。
不動産会社がマンションを買い取ること
不動産会社が不動産を買い取ることを買取と言います。
仲介では、不動産会社が売りたい人と買いたい人を繋げて仲介に入り、仲介手数料として利益を獲得します。
一方、買取では不動産会社が市場価格より安く不動産を購入して、転売や開発などによって買取価格に利益分を上乗せして売却(再販売)します。
不動産会社にとって仕入れにあたるのが買取です。
仲介との違い
買取と仲介の違いは次の通りです。
買取 | 仲介 | |
資金化までのスピード | 速い | 買い手が見つかるまで時間がかかる |
手数料 | 不要 | 仲介手数料が発生 |
売却価格 | 市場価格よりも安い | 市場価格 |
買取は仲介と比較して資金化までのスピードが速いです。
買取は仲介のように買い手を探す時間がかかりません。そのため物件によっては数日程度で売却できる可能性があります。
また、買取は仲介ではないので仲介手数料が発生しません。
ただし、買取は不動産会社にとっては仕入れにあたるので、市場で売却するより売価は安くなります。
マンションの買取価格はどのくらい?
ではマンションの買取価格は市場価格よりもどの程度安くなってしまうのでしょうか?
買取価格は不動産会社の利益率をベースに決められるのが一般的です。
自分のマンションを買取依頼したらいくらくらいになるのかを知ることもできるので、買取価格の計算方法について詳しく見ていきましょう。
市場価格の8割程度
買取で不動産を売却した場合、市場価格の8割程度の売却価格になります。
不動産会社にとって買取は仕入れです。
安く仕入れて高く売却することによって不動産会社は利益を得ているので、市場価格で売却するよりは間違いなく安くなってしまいます。
居住する地域のマンションの平均売却価格が3,000万円であれば、買取では2,400万円程度でしか売却できません。
買取の場合にはどの程度の価格になるのかは、WEBサイトで国土交通省が運営する「土地総合情報システム」や全国指定流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」などで調べ、その価格の8割程度が買取価格だと理解しておきましょう。
買取価格を決める際の計算方法
不動産会社が買取価格を決定する際には次のような計算方法で価格が決まります。
市場価格から、不動産会社が買取った後に発生するリフォーム代金や税金などの必要な費用と利益分を引いた額が買取価格になります。
例えば、同種の物件の市場価格が4,000万円、リフォーム費用や税金などの諸費用が400万円、不動産会社の利益分が300万円の場合、買取価格は3,300万円です。
買取価格は「いくらなら再販売できるのか」ということから逆算して決定しています。
不動産会社の利益は10%〜15%程度
買取によって仕入れた不動産を転売した場合、不動産会社の利益になる部分は10%〜15%程度です。
例えば、買取によって4,000万円で再販売した不動産は400万円から600万円程度の利益になります。
買取によって安く仕入れている不動産を転売しても、不動産会社にとってはそれほど大きな利益を生んでいるわけではありません。
マンション買取による不動産会社の負担とは?
マンション買取をすると不動産会社はすぐにエンドユーザーへ転売できるわけではありません。
買取った後は、リフォーム費用や販売経費などさまざまな費用が必要になります。
マンション買取によって不動産会社にはどの程度の費用負担があるのか、詳しく見ていきましょう。
リフォーム代金の負担
不動産会社が買取によって仕入れた不動産には多額のリフォーム代金が必要になります。
全国宅地建物取引業協会連合会の「不動産買取後、物件のリフォームにいくらかかったか」のアンケートによると、実に約半分の不動産会社が「250万円以上」と回答しています。
買取によって中古住宅を転売するためには多額の費用がかかり、リフォーム代金だけで実に250万円以上の費用が必要になるので、マンションの転売にはそれなりにお金がかかることが分かります。
転売にかかる経費
転売するためには、再販売するにあたっての広告費や税金など、リフォーム代金以外にもさまざまな費用が必要です。もちろん、これらの経費も不動産会社が負担しなければなりません。
場合によっては数十万円程度かかってしまうこともあり、リフォーム代と合わせると転売に必要な経費負担は大きくなってしまいます。
不動産会社は少しでも安く買いたいと考えている
不動産会社の買取では市場価格の8割程度の価格になることから、不動産会社はかなり大きく儲けていると思われがちです。
しかし、実際には不動産会社が買い取った不動産を転売するにはリフォーム代や広告料金、税金などで様々な費用が必要になります。
また、買取ってすぐに転売できれば良いですが、実際にはいつ売れるか分からないため、不動産を保有し続けるほど経費が発生するリスクも抱えています。
そのような理由から、不動産会社はできる限り利益を最大化したいと考え、少しでも安く買取をしたいというのが本音です。
そのため、買取業者によっては市場価格の8割よりも著しく安い価格で買い叩かれることもあります。
買取で売却を検討する際には業者選びが非常に重要です。
マンションを高く買い取ってもらう2つのポイント
マンションを少しでも高く買い取ってもらうためには、売る側も賢い売り手になることが重要です。
そのため、売買相場を把握するとともに複数社から査定を得ることが重要になります。
マンションを高く買い取ってもらうための2つのポイントについて詳しく解説していきます。
相場を把握する
まずは売却希望の物件が実際いくらで売却されているのか、相場を把握することが重要です。
市場価格相場の8割程度が買取価格として適正ですので、市場価格相場を理解していれば不動産会社が提示する買取価格が適正価格かどうかを把握することができます。
WEBサイトで国土交通省が運営する「土地総合情報システム」か、全国指定流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」などを利用して、まずは同地域、同種の物件がいくらで売却されているのかを把握しましょう。
複数社から査定をとる
複数の不動産会社から査定を取ることも非常に重要です。
不動産会社によって査定額はかなり異なります。
不動産会社によって利益率の設定は異なりますし、リフォームの度合いも業者がどのような状態で不動産を売却するのかによって違いがあります。
そのため、買取での売却を成功させるためには数多くの不動産会社から査定を得ることが最も重要です。
不動産一括査定サービスを利用するなどして、必ず複数の不動産会社から査定を得るようにしましょう。
買取に向いているマンションの特徴
仲介ではなく買取に向いているマンションの特徴は次の3つです。
これらいずれかの特徴を持っている物件は、仲介で買い手を探そうとしても難しいので、買取を得意とする業者へ相談した方がよいかもしれません。
買取に向いているマンションの3つの特徴について詳しく解説していきます。
改修が必要な物件
改修しなければ居住することもできないほど劣化している物件は買取が向いています。
大きな改修になるほど時間も手間もお金もかかるので、大きな改修が必要な物件は仲介では売却しにくいでしょう。
仲介で売却しやすいのは、すぐに居住を開始できる物件です。物件の状態によっても仲介と買取どちらが向いているのかを選択すべきでしょう。
大きな修理が必要な物件であれば買取でないと売却できない可能性があると理解しておきましょう。
築年数が古い物件
築年数が古い物件も買取の方が売りやすいと言えます。
築年数が古い物件は、後から何かしらの不具合が起こりうる心配や、内装や設備の古さを気にするなどの理由から購入者のニーズが低く、売りにくいのが実情です。
不動産会社の中には築年数が古い物件を積極的に買取ってる業者も存在します。
そのような不動産会社に買い取ってもらうことで、不動産会社がリノベーションを施すなどして独自のノウハウや販路で売却してくれるため買取の方が向いています。
築年数が古い物件は買取価格も安くなってしまう可能性はありますが、仲介よりははるかに売りやすいでしょう。
事故物件
事故物件は仲介で売却するのは非常に難しくなります。
事故物件は過去に自殺や他殺などがあった物件ですので、買い手が忌避する可能性が高いですし、事故があったことを隠すことは違反になります。
そのため、不動産会社に買い取ってもらった方が売却しやすいでしょう。
事故物件の買取価格は安くなってしまいますが、買い手のつかない状態が続いてしまうよりは買取によって素早く売却した方がメリットがあります。
買取価格を決める5つのポイント
マンションの買取価格は次の5つのポイントによって決定します。
それぞれのポイントが及ぼすプラスの影響とマイナスの影響について詳しくご紹介していきます。
築年数
築年数が新しいマンションは買取価格が高く、築年数が古いマンションは買取価格が安くなります。
一般的に築年数が5年経過するごとに買取価格は1割程度減少すると言われており、築25年で買取価格は半分になってしまいます。
つまり、マンションの売却に時間を掛ければかけるほど買取価格は安くなってしまうため、売却を検討しているのであれば築年数が新しいうちに不動産会社へ相談しましょう。
日当たり
マンションの日当たりも重要です。
マンションの日当たりが良好の方がマンションは高く売れる傾向があり、建物の南側に何も建物が建っておらず、日当たりが良い場合にはマンションは高値で売却できる可能性が高くなります。
また、バルコニーが南向きにある部屋も人気なため、プラスのポイントになります。
反対に、建物の南側に日が当たらない物件は買取価格が安くなる傾向があります。
なお、現在は日当たり良好だったとしても、その後もずっと良好とは限りません。
例えば、建物の南側に別のマンションが建築されてしまったら、マンションが突然日陰になってしまいます。
日当たりが良好なうちに売却した方が高く売却できるでしょう。
間取り
買取価格が決まるポイントとして、部屋の間取りも重要です。
ファミリーが多い地域であれば部屋数が多い間取りの方が高値で売れる傾向がありますし、単身世帯が多いのであれば部屋数が少ない方が売りやすいでしょう。
また、4LDKや3LDKなどは人気の間取りなので高値で買い取ってもらえる可能性があります。
人気の間取りの場合には、不動産会社が大幅にリフォームなどをする必要がないので、その分高く買い取ってもらえる可能性があります。
逆に2DLなどの古いタイプの間取りは買取価格が低くなる傾向があります。
立地
人気の立地にマンションがある場合には、マンションの買取価格は高くなります。
都心の駅に近い物件が人気なのはもちろん、最近はコロナの影響で郊外の物件も人気です。
都心から離れた場所に所在する駅近のマンションであれば比較的高値で売却できる可能性もあります。
人気の立地に位置しているマンションは仲介でも売却できる可能性があるので、売却価格に関しては積極的に不動産会社に交渉してみましょう。
なお、地方に所在しているマンションは、都市部と比較して需要が少ないので買取に応じてもらえない可能性があります。
周辺環境
マンションの周辺環境も重要です。
近くに病院や学校やショッピングモールなどがある物件は周辺環境が良好な物件なので、買取価格も高くなる傾向があります。
なお高齢者が多いエリアなら病院が近い立地が人気ですし、子育て世代が多いエリアは学校や幼稚園が近いエリアが人気です。
やはり周辺環境が良好な物件は仲介でも売りやすいので、買取価格については不動産会社に強気で交渉することができるでしょう。交渉の結果、高値で売却できる可能性があります。
なお、近くに暴力団の事務所があるなど周辺の治安にマイナスなポイントがある場合には価格は下がってしまう傾向があります。
まとめ
中古マンションは仲介だけでなく買取によって売却することも可能です。
マンションの買取相場は、市場価格の8割程度になります。
不動産会社に直接買い取ってもらう買取では、売却価格は仲介での売却より安くなるものの、仲介手数料が発生せずにすぐに現金化することができる特徴があります。
買取価格を少しでも高くするため、事前に自分でも相場を把握した上で、できる限り複数の業者から査定を得るようにしてください。
なお、複数社から査定を受ける場合には一括査定サービスの利用が便利なので是非活用しましょう。