マンションを売りたい!…けど初めてのマンション売却の場合、何からはじめていいのか分からず不安を感じたり、売却に失敗しないか恐れてしまう方も多いでしょう。マンション売却を成功させるためには事前に売却に関する基礎知識をいれ、マンション売却全体の流れや注意点などを把握しておくことがとても大切です。
この記事では、マンション売却の流れ、売却において失敗しないための注意点をわかりやすく解説します。この記事を読めば、安心してマンション売却に挑めるはずです。
マンション売却の流れと期間を知っておこう
まずはマンション売却を行うにあたっての全体的な流れと期間を知っておきましょう。
売却活動をスタートさせてからマンションの引き渡しが完了するまでの期間はおおよそ2~5ヶ月になります。
これは平均の目安になりますが、マンションを売りたいと思ってからすべてが完了するまで早ければ1ヶ月以内の期間で終わるケースもあります。反対に、5ヶ月以上かかってやっと売却が完了することも少なくありません。
では、なぜ売却までの期間にこのような大きな差がでるのでしょうか。それは「売却活動」中の期間によって大きく変わるからです。つまり、不動産会社がどれだけ早く買主を見つけられるかで、マンション売却が完了する期間が決まります。
次は、マンション売却の流れに沿って詳しく解説していきます。
売却準備
まずは売却するための準備をはじめましょう。
ここでは、以下4つのことをしておけば安心してスムーズに売却をスタートさせることができます。
①売却・資金計画をたてる
今住んでいるマンションを売って住み替えたい、相続で譲り受けたマンションを売りたい、まとまった資金が必要になったなどマンションを売却したい理由は様々かと思います。
まずは売却の目的に合わせて、いくらぐらいで売却したいのか、いつからいつまでに売却したいのかなどの希望条件があれば整理しておきましょう。
また、売却したいマンションの住宅ローンが残っている場合は、ローンの残高(残債)を確認しておく事が重要です。
住宅ローンを利用している場合、借入先の金融機関はそのマンションに「抵当権」という権利を設定しています。その抵当権を抹消しなければマンションを売ることができないので注意が必要です。抵当権の抹消をするには、住宅ローンを完済する必要があります。通常、抵当権を抹消するためにはマンションの売却代金をもってローンの完済を行います。つまり、もしマンションの売却額より住宅ローンの残債額の方が多かった場合は足りない分を自己資金で用意しておかなければなりません。
住宅ローン残債額の確認方法については、借入先の金融機関から年に一度郵送される「残高証明書」もしくは借入時に郵送される「返済予定表」で確認することができます。金融機関によっては、インターネットバンキングやインターネットサービスを利用している場合、WEBサイト上で24時間いつでも住宅ローン残債額の確認が可能です。それでも残債額の確認ができない場合は、借入先の金融機関に連絡をして残債額の確認方法を問い合わせてみましょう。
売却理由が住み替えの場合、住み替えローン(買い替えローン)を利用すれば、売却したいマンションのローン残債があってもマンションを売却することが可能です。
住み替えローンとは、マンション売却後のローン残債と新居の購入で利用する住宅ローンをあわせて組めるローンになります。自己資金を用意しなくても住み替えができるので便利なサービスですが、住み替えローンを利用する際のデメリットや注意点もあるので、よく理解した上で検討することをおすすめします。
資金計画をたてる上で、マンション売却時にかかる費用も事前に把握しておきましょう。
マンション売却時にかかる基本的な費用はこのようになります。
売却金額から費用を引いた分が手取り額となることを踏まえた上で、売却に挑みましょう。
②情報収集・相場を知る
売却したいマンションの査定を不動産会社に依頼する前に、自分で相場価格を把握しておきましょう。
相場価格を知っておくことで、これから依頼する不動産会社からの査定価格が適切かどうかを判断することができます。また、購入希望者との価格交渉の際も相場を知っておくことで交渉しやすくなるでしょう。
ではさっそく、マンションの相場価格を調べる方法をいくつかご紹介します。
まずはインターネットの物件情報サイト(SUUMOやホームズなど)から売却したいマンションに近い条件で検索し、今実際に売りに出ているマンションを比較してみましょう。
売却したいマンションに近い条件とは、以下の項目を指します。
以上の条件がなるべく近いマンションを検索し、いくらで売り出されているかを確認してみましょう。
しかし、「探してみたけど、条件に近いマンションがなかなか見つからない…」と、条件に近いマンションといっても、すべての条件が近い物件が売りに出されているとは限りません。
エリアと築年数が似たようなマンションはあっても、同じくらいの広さ(平米数)を見つけることが一番困難でしょう。広さ(平米数)はほぼ同じでないと、物件価格に大きな差がでてしまいます。
そこで、広さの異なるマンションでも自分のマンションの場合はいくらくらいの価格になるのかを比較する方法をご紹介します。
それは、「平米単価」をだすことです。
売りに出されているマンションの価格をそのマンションの広さ(平米数)で割れば、平米単価が分かります。
例えば、広さ以外は近い条件のマンションを物件Aとし、あなたのマンションは物件Bとします。物件Aは、販売価格が3000万で広さは50㎡です。物件Bの広さは70㎡とします。
物件Aの平米単価を出すには、「3000万円÷50平米=60万円」とこのような計算式になります。よって、物件Aの平米単価は60万円という事がわかりました。
では、その平米単価を物件Bに置き換えてみましょう。
「60万円(平米単価)×70平米=4200万円」物件Bの販売価格=4200万円
以上の計算式から、あなたの物件を売る場合、4200万円が一つの参考価格となるでしょう。
ただし、一般的に広さが大きくなるほど平米単価は低くなっていく傾向があります。
例えば、広さ(平米数)が20平米の物件と100平米の物件では広さがあまりに違うので
相場を平米単価でみる事はおすすめしません。
それほどかけ離れた広さでなければ、このように平米単価から調べてみましょう。
ここまでは物件情報サイトから相場を調べる方法をご紹介しましたが、物件情報サイトに載っているものはあくまで売りに出している価格にすぎないため、その価格で売れるとは限りません。
もしかしたら、実際の相場価格よりも高い金額で売りに出している情報かもしれないので、なるべく複数の物件で比較すると良いでしょう。
レインズマーケットインフォメーション
相場価格を調べるのに、「レインズマーケットインフォメーション」というサイトを利用するのもおすすめです。
レインズマーケットインフォメーションとは、過去実際に売買された成約価格を検索できるので、より現実的な価格を知ることができます。
- 対象エリア:日本全国
- 運営:国土交通大臣指定の不動産流通機構
地域、最寄り駅、築年数、専有面積など、様々な条件から直近一年以内の取引情報が閲覧可能です。
実際に成約された取引情報をグラフや一覧表でみることができるので、マンションの相場価格が一目で分かりやすいのが特徴です。
土地総合情報システム
「土地総合情報システム」とは、国土交通省が実際に不動産の購入をした人を対象としたアンケート結果をもとに集計した取引情報を載せています。
- 対象エリア:日本全国
- 運営:国土交通省
住所もしくは路線・駅名から、過去の取引情報をみることができます。
一覧でみることもできますが、地図で表示することもできるので、地図上で近隣の取引情報の件数や価格情報も見やすく便利です。
注意点として、こちらは不動産の購入者を対象としたアンケート結果をもとにした情報になるため、取引の行われた事情などにより実際の取引価格が異なる場合があることを覚えておきましょう。
簡単に相場を知りたいなら一括査定サイトがおすすめ!
ここまで、「売り出し価格から相場を調べる方法」と「過去の取引情報から相場を調べる方法」をご紹介しましたが、「相場を調べるのが面倒…」「なかなか調べる時間がつくれない」という方は、不動産一括査定サイトがおすすめです。
一括査定サイトを利用すれば、マンションの簡単な情報を入力するだけでそのマンションの売買を得意とする複数の不動産会社から査定価格をだしてもらえます。不動産一括サイトを利用することにより、複数社の査定価格を見比べることができるので簡単に自分のマンションの相場価格が分かるでしょう。
査定をもらった複数社の中から売却を任せたい会社をみつけた場合は、このあとの流れ「不動産会社と媒介契約を締結」で媒介契約を締結しても良いでしょう。
③必要書類の準備
マンションの売却をするにあたり、様々な書類が必要になります。
大きく分けて、不動産会社との媒介契約時・売却活動中・売買契約時・引き渡し(決済)時の4つのタイミングでそれぞれ必要となる書類があることを覚えておきましょう。
後になって慌てることのないよう、事前に必要書類を把握し、すぐに用意ができるよう書類の準備をしておくことでスムーズに売却に挑めます。
こちらでは、マンション売却において必要な書類とその目的や、どのタイミングで必要になるのかを以下の図でご紹介します。
必要書類 | 目的 | 必要なタイミング |
---|---|---|
身分証明書 | 物件所有者の本人確認 | 売買契約時までに |
実印・印鑑証明書 | 書類の捺印/実印の証明 | 売買契約時/引き渡し(決済)時 |
固定資産税納税通知書 | 税額の確認/引き渡し時に精算するため | 媒介契約時~ |
住民票もしくは戸籍の附表 ※登記上の住所と現住所が異なる場合 |
登記名義人の変更 | 売買契約時~ |
部屋の間取り図 | 物件情報の確認 | 媒介契約時~ |
マンションの管理規約/使用細則 | マンションのルールを確認 | 媒介契約時~ |
マンションのパンフレット | 物件情報の確認 | 媒介契約時~ |
マンションの維持費に関する書類 | 買主が購入後に負担する費用の確認 | 媒介契約時~ |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 | 建物状況の確認 | 媒介契約時~ |
登記済権利証(登記識別情報) | 登記名義人の変更 | 売買契約時~ |
ローン残高証明書(残債額が確認できる書類) | 売却活動をするにあたっての確認事項として | 媒介契約時~ |
銀行口座情報(通帳) | 手付金/売却金額の振込み | 売買契約時~ |
売却するマンションや状況によっては、すべての書類が揃わないこともあるので慌てずにひとつひとつ確認していきましょう。
反対に、場合によっては上記の項目以外で必要となる書類がでてくることもあります。
必要書類とは、売却の手続き上で必要となることはもちろん、売却をする売主と、今後購入を検討する買主双方にとって円滑に売買を行うために必要不可欠な書類を意味します。今後購入を検討する買主にとって知りたい情報はなにか、もし自分が購入者の立場になったらどのような情報(書類)がほしいかを考えることも大切です。今のうちから売却したいマンションに関係する書類はすべてまとめておくようにしましょう。
④不動産会社を選ぶ・査定の依頼をする
さて、売却準備も終盤にさしかかってきました。いよいよ不動産会社にマンション売却の査定依頼をしましょう。
マンション売却の流れにおいて、不動産会社選びが売却を成功させるための重要なポイントとなります。
「では、一体どこの不動産会社に依頼したらいいのだろう…?」
不動産会社は日本に数十万社も存在する中、一体どこの会社に依頼をすればいいのか分からず不安に感じるでしょう。また、マンションの状況や条件によって売却を得意とする不動産会社が異なるため、不動産会社によって査定結果に差がでることもあります。ここで不動産会社選びに失敗してしまうと、マンション売却において後悔の残る結果となってしまいます。
そこで、マンション査定を依頼するなら一括査定サイトをおすすめします。
前述しましたが、一括査定サイトとは、売却したいマンションの情報を簡単に入力するだけでそのマンション売買を得意とする不動産会社を自動で選別し、その中の複数社へ一度に査定依頼ができるサービスです。
査定金額はもちろん、その不動産会社の販売戦略や会社の特徴なども確認することができるので、比較がしやすく、不動産会社選びに苦労することはないでしょう。
一括査定サイトを利用すれば、売却金額で失敗することを防げるだけでなく、あなたに合った不動産会社に出会える確率を高くします。
不動産会社によって査定金額で数百万円の差がでることは珍しいことではありません。
必ず複数社から査定を受けることが、売却を成功させるカギになります。
不動産会社と媒介契約を締結
マンション売却をスタートするには、不動産会社と「媒介契約」を締結する必要があります。
媒介契約とは、不動産売買の仲介を依頼する際に不動産会社と結ぶ契約のことです。
媒介契約書には、どのような条件で売却活動を行うか、売買契約が成立した際の報酬金額(仲介手数料)や、媒介契約の期間が記載してあります。契約といっても、媒介契約を締結しただけでは費用は発生しません。
この媒介契約を締結した不動産会社が、これからあなたのマンション売却に向けて正式に売却活動をはじめていきます。
査定を依頼した不動産会社の中から、仲介を依頼したい不動産会社と媒介契約を締結しましょう。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
媒介契約の種類 | 契約内容 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数の不動産会社と契約できる。売主が直接買主をみつけて契約する事ができる。 |
専任媒介契約 | 他の不動産会社と重ねて契約ができない。売主が直接買主をみつけて契約する事ができる。 |
専属専任契約 | 他の不動産会社と重ねて契約ができない。売主が直接買主をみつけて契約する事ができない。 |
一般媒介→専任媒介→専属専任媒介の順につれて制限が厳しくなっていきますが、それぞれ、不動産会社の売却活動にあたっての義務も変わっていきます。例えば、専属専任媒介であれば1週間に1回以上、依頼主(売主)に対して売却活動についての業務報告を行う義務がありますが、一般媒介であれば報告義務はありません。一般媒介契約が依頼主にとっても制限がないため一番良いと思われがちですが、それぞれのメリット、デメリットが存在します。
基本的には、依頼する不動産会社に迷った場合は一般媒介契約にし、信頼できそうな不動産会社が1社いれば専任媒介契約がおすすめです。
売却活動をスタート
不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよマンションを売り出していきます。
売却活動は仲介をする不動産会社が行うとはいえ、マンション売却を成功させるには売主も協力していかなければなりません。こちらでは売却活動中から売買契約に至るまでの流れを4つに分けてご紹介します。
①売却活動中の流れ
そもそも売却活動とは、どのようなことをするのでしょうか。
基本的には、インターネットに掲載したり、チラシを作成して買主をみつけます。
インターネットとは、不動産会社しか閲覧できない「レインズ」というサイトや、不動産ポータルサイト(SUUMOやat-homeなど)のことで、不動産会社はそれらのサイトに掲載して買主からの反響を待ちます。
インターネットに掲載してからは、買主もしくは買主が仲介を依頼している不動産会社からマンションについての質問やお部屋の内覧希望などのお問い合わせが入ります。
内覧希望が入った際は、不動産会社が間に入り、売主と買主の間で内覧の日程調整を行います。
内覧希望の買主はどのような人なのか、何人で来るのかなど事前に確認しておくと良いでしょう。
②内覧の準備・対応
内覧は、購入希望者にとってそのマンションを購入するか否かの決め手となるといっても過言ではありません。買主にとって内覧を希望することは、そのマンションを少なからず気に入っています。なのにもし室内の印象が悪くなってしまえば、とても勿体ないことですよね。良い印象を与えるためには、室内の掃除をしっかりとしておきましょう。特に、一番最初に目に入る玄関、部屋の中心となるリビング、清潔感を左右する水回りは念入りに掃除することをおすすめします。また、室内の物を極力減らしましょう。不要なものは処分し、なるべく生活感をださないことで良い印象を与えます。
さらに、備え付けの設備(エアコン、インターフォン、換気扇など)の使用に問題がないか、不具合がないかも事前にチェックしておきましょう。
内覧当日は、室内の窓を開けて換気し、部屋の電気はすべてつけておきましょう。部屋は明るい方が好印象です。
ここまでをしっかり行ったら、リラックスして内覧希望者を迎えましょう。
購買意欲を高めてもらうために、マンションのおすすめポイントをお話ししても良いでしょう。(陽当たりが良い、スーパーまで近いので買い物に便利など)
内覧中、どう対応していいのか分からないと不安を感じることはありません。不動産会社も内覧にきちんと同行し、あなたと同じ立場になってマンションをアピールしてくれるでしょう。
③購入申込書を受け取る
マンションの購入希望者が現れたら、不動産会社を通して購入申込書(もしくは買付申込書)が届きます。この購入申込書には、購入者の住所・氏名、購入希望金額、購入条件が記載されているので内容をしっかりと確認しましょう。注意したいのが、あくまで購入したいという意思表示の書面なので、その条件で必ず購入すると約束するものではありません。また、キャンセルされる可能性もあるので、相手の購買意欲が高いうちに対応することを心掛けましょう。
④価格や条件の交渉
マンションの購入希望者から購入申込書を受け取ったあとは、売買成立に向けて価格や条件の交渉がはじまります。交渉の際は必ず不動産会社を介して行っていきます。
主に、交渉をする内容は「売買金額」と「引き渡し期日」になるでしょう。
当たり前ですが、売主は出来る限り高い金額で売却したいと思っているように、買主は出来る限り安い金額で購入したいと思っています。
もちろん、必ずしも値下げしなければいけないなんてことはありませんが、金額はいくらまでなら譲れるかを改めて考え、お互いが納得できる条件で成立させましょう。
売買契約を締結
晴れて購入者が決まったら、売買契約を締結します。
こちらでは売買契約の締結からマンションの引き渡し(決済)までの流れをご紹介します。
売買契約は、売主と買主が不動産会社に集まって行うのが一般的です。
当日は、売買契約書などの書類関係の説明・取り交わしや、買主から手付金を支払ってもらいます。
手付金の額は、売買金額の10%程度が通常です。
不動産会社へ売買契約時に必要な書類を確認し、当日忘れずに持参しましょう。
また、不動産会社によっては売買契約時に仲介手数料を半分支払う場合もあるので、その際は仲介手数料も忘れずに用意しておきましょう。
無事に売買契約を締結した後は、住宅ローンを利用している場合、借入先の金融機関に連絡を入れましょう。
売却が決まったことと、マンションの引き渡し日(ローン完済日)がいつなのかを伝えます。
後日、金融機関から、マンションの引き渡し日に合わせて、当日支払うローンの返済額が記載された書類が届きます。通常、金融機関は抵当権の抹消をするための準備に数日~2週間ほどかかるので、売買契約が済んで引き渡し日が決まったらすぐに金融機関へ連絡しましょう。
マンションの引き渡し(決済)日は、売買契約日もしくは買主がローンで購入する場合はローンの本審査が通ったあとに決めます。
そして、引き渡し(決済)日が決まった後は、不動産会社から精算書が送られてきます。
精算書とは、引き渡し日に買主から受け取る残代金(売買代金から手付金を引いた額)と固定資産税、マンションの管理費・修繕積立金などを日割り計算した金額が記載されていて、これらすべてを精算した上で最終的に買主から受け取る金額が記載されています。
精算書を受け取ったら、精算内容に間違いがないか念の為確認しましょう。
マンションの引き渡し(決済)
いよいよマンションの引き渡し(決済)日です。
引き渡し日は、売主、買主、不動産会社、司法書士が立ち会います。
場所は不動産会社もしくは買主がローンを利用する金融機関で行います。
当日は、司法書士が抵当権抹消の手続きや、所有権移転登記の手続きを行うための書類を準備していきます。売主、買主はそれぞれ用意された必要書類に捺印をします。
この手続きに必要書類が揃わないと、マンションの引き渡しを行うことができなくなってしまうので事前に必要書類の確認をしっかりと行い、当日は忘れることのないようにしましょう。
すべての書類が不備なく揃えば、買主から残代金を受け取ります。
売主の住宅ローンの返済が残っていれば、買主から残代金を受け取り次第、金融機関に支払いを済ませます。
買主からの入金と売主の住宅ローン返済が無事に終わり次第、司法書士が登記所に向かい、抵当権抹消登記や所有権移転登記、新たな買主の抵当権設定登記を行います。
晴れてマンションの引き渡しが完了です。
確定申告
マンションを売却した後は、確定申告が必要となるケースがあります。
確定申告が必要となるケースとは、マンション売却で利益(譲渡所得)が出た場合です。利益が出た場合は確定申告をして、「譲渡所得税」を収める必要があります。売却をして損をした場合には確定申告を行う必要はありません。ただし、利益がでなかった場合でも確定申告をした方が良いケースもあります。それは、マイホームを売却したときの特例を利用する場合です。特例とは大きく分けて、「節税の特例」と「税金還付を受けることができる特例」の2つあります。
確定申告は、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日までの間に行いましょう。
自分で手続きするのが不安な場合や、忙しくて時間が作れないときは税理士に依頼することも可能です。
マンション売却の際のよくある失敗と注意点
せっかくはじめたマンション売却。誰しも売却に失敗したくはありませんよね。
こちらではマンションの売却でよくある失敗や、注意点をご紹介します。
時間の余裕がない
マンションの売却は、時間の余裕がないことで様々な失敗を招いてしまいます。
売却をしたい期限が迫っていれば、その期限内に購入者をみつけなければなりません。
本来であれば4000万円で売却したいのに、もし売却したい期間内で購入者が現れなければ値下げせざるを得なくなってしまいます。
冒頭で、マンションの売却にかかる期間はおおよそ2ヶ月~5ヶ月とお伝えしましたが、余裕をもって売却したい時期の6ヶ月前には売却準備をはじめましょう。
1社しか査定を依頼しない
マンションの売却をはじめるとき、不動産会社に査定を依頼します。
このとき、一社の不動産会社にしか査定を依頼しないことは大きな失敗に繋がりかねません。
例えば、その不動産会社がマンション売却に不慣れで相場を正しく理解していなければ、相場よりも安く査定され、なおかつ売却がスムーズに進まない恐れがあります。
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や査定価格の根拠をしっかりと確認し、比較しましょう。
「複数の不動産会社に査定依頼するのは手間…」
そんなときは、一括査定サイトがおすすめです。一括査定サイトとは、売却したいマンションの情報を簡単に入力するだけでそのマンション販売を得意とする不動産会社を厳選し、その中の複数社へ一度に査定依頼ができるサービスです。
査定価格だけで不動産会社を選ぶ
複数の不動産会社にマンションの査定をしてもらったら、査定価格が一番高い会社に依頼したくなりますよね。
しかし、査定価格だけで不動産会社を選ぶには注意が必要です。
あくまで査定価格は、絶対にその金額で売れることを約束するものではありません。
不動産会社は仲介の依頼を受けたいがために、不動産会社自身が高いと分かっていながら売却できる想定の金額よりも高い金額で提示してくる場合があります。
一番査定価格が高いからといって、このような不動産会社に依頼してしまえば結局は値下げしていかなければならず、さらに売却するのに時間がかかってしまいます。
もちろん、不動産会社によって営業力が異なるので査定価格にばらつきがでるものですが、明らかに他社と比べて査定価格が高ければ、注意しましょう。
このような失敗を防ぐためには、査定価格をだしてもらった不動産会社に対して、なぜその価格なのかの根拠を確認しましょう。
売り出し価格が高すぎる
マンション売却に失敗する理由の多くは、売り出し価格が高すぎることが原因になります。
相場からかけ離れた売り出し価格では購入希望者が現れなくなってしまい、そうするといつまで経っても売れず、結局は値下げを繰り返していくことになります。
売却するなら、できるだけ高く売りたいと思うでしょう。そんなときは相場価格から1割程度高い金額で売り出すことをおすすめします。
東日本不動産流通機構の調査によれば、売り出し価格と成約価格は平均で1割程度の差があることが分かっています。売り出し価格より成約価格が1割程度低いのです。
ほとんどの購入希望者は、値下げ交渉をしてきます。もし値引き交渉に応じたとしても1割程度高い価格であれば相場よりも安く売ってしまうことを防ぐことができます。また、相場価格から1割程度の差であれば購入希望者を集めやすく、値引きをせずに成約ができる可能性もあります。
相場価格から1割程度高い金額で売り出しておくと良いでしょう。
数多くの会社と一般媒介契約を結ぶ
マンションの売却をする際は不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には3種類ありますが、そのなかで一般媒介契約を選択する際の注意点があります。
専任媒介契約、専属専任媒介契約では1社のみの不動産会社と契約を結ぶことになりますが、一般媒介契約は複数の不動産会社と契約を結ぶことができます。
だからといって、数多くの不動産会社と媒介契約を締結すると失敗の原因になります。
不動産会社は、自社で購入希望者を見つけてこなければ利益が1円も発生しません。
契約を結んだ不動産会社の数が多ければ多いほど、その会社が購入希望者をみつけてこれる可能性が低くなります。つまり、不動産会社のモチベーションが下がりやすく、売却活動を積極的に行わなくなる可能性が高くなってしまいます。また、数多くの不動産会社がいろいろなポータルサイトに物件情報を掲載すれば、1つのサイト上で物件情報が重複して掲載されます。情報は広まりやすくなりますが、あまりにたくさんの不動産会社が同じ物件情報を載せていると、購入希望者からみてもたくさんの会社が扱っている物件と分かり、物件の価値を下げてしまう傾向があります。
一般媒介契約は、専任媒介や専属専任媒介に比べて自由度が高く、不動産会社同士を競わせることができるのが最大のメリットです。しかし数多くの不動産会社に依頼をすることはたくさんのデメリットを生み出してしまいます。
一般媒介契約を選ぶ際は、2~3社程度の不動産会社に絞って依頼すると良いでしょう。
付帯設備の明示が不十分
マンションの売却後によくある失敗が、室内の設備に関する報告が不十分だったときです。
例えば、売却後に買主から「網戸が破れている」と言われ、その事をもし事前に買主に伝えていなければ大きなトラブルになってしまいます。
マンションの売却では、売買契約の際に売主が「付帯設備表」を記入し、買主へ渡します。
付帯設備表とは、室内にある各設備(エアコン、換気扇、シャワー、インターフォンなど)がどのような状況であるか、またはどのような状態で買主に引き渡すかを記入する書類です。各設備の不具合が「有」か「無」かどちらかを記入する欄があり、不具合が「有」と記入したものについては修復する義務はありません。反対に、もし不具合があるのに「無」と記入したものに関しては、マンションの引き渡し日から7日以内に請求を受けた場合、売主の負担で修復をしなければなりません。
付帯設備表は、言った言わないのトラブルを防ぐための大切な書類です。
付帯設備表に記入する際は、設備の状態をすべて確認してから記入しましょう。
もし設備に少しでも不具合があれば、付帯設備表の備考欄に詳細を記入するのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
マンション売却の流れやよくある失敗と注意点について解説しました。
全体の流れは、売却準備→売却活動→媒介契約→売買契約→マンションの引き渡し(決済)→確定申告の6ステップに分かれます。それぞれの注意点やポイントをおさえ、マンション売却を行いましょう。
マンション売却を成功させるためには、依頼する不動産会社選びが非常に大切です。
良い不動産会社と出会うためには、一括査定サイトを利用しましょう。