「マンションを売る」というのは、人生の中でもとても大きな決断が求められるシチュエーションです。
マンションを売る時は、マンションの価格相場が下がる前、最も売値が高い時に売りたいと思うのが当然でしょう。
そこで、この記事ではマンションの売り時について良いタイミングで売るためのポイントを解説していくのでマンション売却の参考にしていただければと思います。
マンションの売り時はどこで決まる?
マイホームとして住んでいるマンションを売却する時というのは、主に仕事の都合や子供の遠方の学校への進学、子供の自立など生活に大きな変化が訪れる時でしょう。
そうした中で、丁度よくマンションの売り時に売却するというのはなかなか困難なことと思うかもしれませんが、売り時のタイミングはいくつか訪れます。以下の4つのポイントがマンションの売り時において大事な要因となります。
- 築年数
- 季節
- 所有期間
- 大規模修繕
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
築年数
マンションは耐用年数が長いため、ある程度の築年数が経っている場合でも売却は可能ですが、築年数が古ければ古いほど市場の相場価格は下落していくものなので、マンション売却のタイミングを考えるときに最も重要なのが築年数となります。
築年数が10年、20年などの区切り
築年数は数字の区切りを超えないことが大事で、築10年と築11年、築20年と築21年ではそれぞれ1年間だけの差でも大きく変わります。
なぜかというと、マンション購入希望者がインターネットで物件を探す際は、築年数の検索項目で絞り込んだ場合に「築10年以内」もしくは「築20年以内」など、10年の区切りで探すことが多いからです。例えば築11年のマンションの場合、「築10年以内」で探している購入希望者に物件を見つけられることはないですが、築10年のマンションであれば「築10年以内」で探している購入希望者もつかめるチャンスができるので、より多くの人に購入を検討してもらえます。
築年数による相場の変化
築5年前後のマンションは、新築時の価格から10~20%下がるのが一般的です。ただし、マンションの市場が上昇している時は新築時に近い価格、さらには新築購入時よりも高い金額で売却できるケースもあるので、一概に早く売却すれば良いというわけではありません。
通常は、築10年前後のマンションの売却相場価格は新築時よりも20~30%減、築20~25年の売却価格相場は新築時の50%前後減となり、築年数が経過するにつれそのまま下落をたどっていきます。
また、1981年5月31日までに建築確認を受けた「旧耐震基準」のマンションの場合は売れにくい傾向にあります。ただし、旧耐震基準の時代に建築されたマンションの中でも耐震補強工事や耐震診断の履歴があれば売れにくさを防ぐこともあるので、チェックしてみましょう。
季節は秋〜冬が売り時
マンションの売り時は、季節も重要なポイントです。
春に向けて進学や転勤にあわせたマンション購入の需要が増えていくので、年度末の2~3月頃が売り時となります。次に売買取引が多いのは、年末に向ける秋~冬頃です。
マンション売買の動向は季節によって変動するので、成約件数が多い季節に乗り遅れないように早めに売却準備をしておくのが吉です。
所有期間が5年以下なのか、5年超えなのか
マンション売却時に、そのマンションの所有期間が5年以下なのか、5年超えなのかによって支払う税金に大きな変化が起こります。
マンションを売却して売却益がでると譲渡所得税が課されます。マンションを売却する年の1月1日時点で所有期間が5年以下だと、売却益に対して税率は約40%、5年超だと約20%の税金を支払うことになります。
つまり、売却するマンションの所有期間が5年を超えている場合の方が、支払う税金を安く抑えることができます。
もしマンションを売却して利益がでる可能性があり、なおかつ所有期間が5年前後の分かれ目であれば、5年を超えるタイミングで売却すると良いでしょう。
マンションを売却して売却益がでない場合は、この譲渡所得税は課されません。
大規模な修繕の後が売り時!
マンションでは定期的に大規模な補修や修繕が行われています。築12~15年頃に初回の大規模修繕が行われ、その後も10年~15年ほどの周期で行われるのが一般的です。
この大規模修繕が完了した後というのは、非常に有利に売却ができる、まさに売り時となります。
大規模修繕では壁の洗浄や塗装を行っているので、建物が綺麗な状態になり、購入希望者の購買意欲が高まります。
また、大規模修繕の費用はマンションの所有者が月々支払っている修繕積立金から充てられるのですが、万が一、大規模修繕にかかる費用が修繕積立金で賄えない場合はマンションの所有者が各自資金を負担することも考えられます。
そのため、大規模修繕を無事に終えたばかりであればそのような心配事はなく、購入希望者が安心できるという点も大きなポイントになります。
ですが、大規模修繕工事中にマンション売却をするのは、マンションの様子をしっかりと確認することができないため不利になってしまいます。
もし、大規模修繕工事が近いマンションの売却を予定しているなら、大規模修繕工事中のタイミングにならないよう気をつけましょう。
マンション市場の最新動向
2022年現在、マンションの市場は好調で、新築、中古どちらも9年連続して上昇傾向です。
2020年からは新型コロナウイルスの影響で、新築マンションのモデルルーム見学ができなくなり、中古マンションを仲介する不動産会社の多くが営業を自粛したため売買が激減してしまいましたが、市場価格が下落することはありませんでした。
また、2021年に発売された首都圏の新築分譲マンションの平均価格は、過去最高額の6260万円となりました。
新築分譲マンションの価格が上がるということは、その影響で中古マンションの相場も自動的に上がるため、中古マンションの相場も引き続き上昇傾向にあります。
新築分譲マンションと中古マンションは共に高騰を継続していますが、今後の動向は住宅ローン金利の影響によって左右されるでしょう。
マンション価格の高騰が続いている大きな理由としては、現在の住宅ローンが低水準であり、マンション購入の需要が高いからです。
もし今後金利がアップすることによって購入者のニーズが低くなれば、マンション価格が下がる可能性がでてくるため、住宅ローンの金利推移は非常に注目するべきポイントになるでしょう。
マンションの売り時を逃さないためのポイント
最後に、先述した築年数・季節・所有期間・大規模修繕などの売り時ポイントを踏まえて、売り時を逃さないために気をつけるポイントをご紹介します。
不動産会社の査定を早めに受ける
マンション売却を検討していれば、すぐに不動産会社の査定を受けましょう。
不動産会社の査定を受けてしまうとすぐに売る必要があるというわけでなく、売り時について不動産会社に相談したり、査定結果を聞いた上で改めて売却するか判断することもできるので、売却を検討していればまずは査定を申し込んでみることをおすすめします。
マンションの売却を有利に進めたいのであれば、早い段階で不動産会社の査定を受け、適切な時期に適正な価格で売り出しをするというのが大事なポイントとなります。
売り時である2~3月中の売却をしたいのであれば、遅くても冬までに査定を済ませておくべきでしょう。売却希望時期の半年前に動き出せば慌てずに済みます。
また、戸数の多い大規模なマンションを売却する場合、同時期に同じマンションから類似タイプの部屋が売りに出されている可能性があり、似たような部屋の販売が多ければ多いほど、売れにくい状態となってしまいます。
大規模なマンションの場合、どうしても同じマンションからの売り物件と売却時期が被ってしまうかもしれませんが、それでも販売中の部屋がなるべく少ない時期に売り出したり、浴室やトイレなどの一部をリフォームして他の部屋との差別化を図るという方法で有利に進めることもできます。
しかし、このような作戦を取るには時間に余裕を持っていないと実行できないので、まずは早めに物件の査定を受けておくことから始めるのが売却を成功させる鍵となります。
不動産会社を適当に選んでは後悔する
マンションの売却を成功させるには、不動産会社を選ぶ工程というのが非常に重要です。近所にあるから、大手だからといった簡単な理由で不動産会社を選ばないようにしましょう。
必ずいくつかの不動産会社の査定を受けてから、どの会社に売却を依頼するか決めるのが鉄則です。
不動産会社は、各々得意な分野であったり、得意なエリアがあります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼すると査定結果に数百万円単位での違いが生じることもよく見られます。
また、会社の販売活動の内容によって売却価格は変動しますので、不動産会社の査定結果をしっかり比較し、高く売ってくれそうかつ安心・安全に取引できる不動産会社を探しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
マンションの売り時において重視したいポイントは以下の4つです。
・築年数
・季節
・保有期間
・大規模修繕
上記4つのポイントをチェックしながら、売り時を逃さないようにしましょう。
ほかにも、売却を有利に進めるためには、売却することが決まったらできるだけ早く不動産会社の査定を受けて、売り出し時期を見極めるのが大事なポイントです。
そして不動産会社も適当に選ぶのではなく、一括査定サービスなどを活用して、複数の不動産会社の中から信頼できる会社を見つけましょう。また、売り時について相談をすることでより売却成功率を高めることができるでしょう。
マンション売却は自分一人ではなく、信頼できる不動産会社と一丸となることで成功度は飛躍します。