リースバックの家賃や買取価格はいくらになる?相場をわかりやすく解説

リースバックの家賃・買取相場を解説

リースバックとは、専門の不動産会社などに不動産を売却したあと、家賃を支払うことでその不動産を利用し続けることができるサービスです。

リースバックは、主にマイホームのローン返済問題の解決や、老後資金を確保する際に検討される方法です。

リースバックの利用を検討するにあたって、特に知っておきたいことは「家賃相場」と「買取価格の相場」でしょう。リースバックでは、一般的な相場に比べて買取価格が安くなることが多いため、想定した額の資金に届かないなんて場合もあります。また、家賃も一般的な家賃相場とは異なる場合があるので注意が必要です。

この記事では、リースバックの家賃や買取価格の相場、それぞれの決まり方や仕組み、計算方法について解説します。

リースバックの基本情報

机の上に家の模型、小銭、ペン、電卓が置いてある様子

リースバックとは、不動産を不動産投資家や不動産会社へ売却し、同時に買主と賃貸借契約を結んで家賃を払うことで不動産を利用し続けることができる仕組みのことです。

主にリースバックは自宅で利用されるケースが多く、自宅をリースバックすれば引っ越しをすることなくそのまま自宅に住み続けることができるのが利用者にとって大きな魅力を感じているようです。

また、自宅を退去する必要がないので周囲に知られずに家を売却することができ、売却資金も短期間で手に入れることができるのがリースバックのメリットです。

一方でリースバックのデメリットは、リースバック業者によって賃貸利用できる期間が設けられており、賃貸借期間に制限があるという点です。「定期借家契約」という契約種類の場合は、定められた期間を過ぎると更新ができないケースも少なくなく、場合によっては長く住むことができないという点もデメリットになります。

他にも、リースバックで最も気になる問題点として、家賃設定は相場よりも高く、売却価格は相場よりも安い傾向にあります。

リースバックの利用を検討しているなら、家賃や買取価格の設定方法はどのようにされるのか把握しておくと良いでしょう。

リースバックの家賃相場・買取価格相場

リースバックの家賃相場と買取価格相場

リースバックでは、家賃設定は相場より高い傾向にあり、買取価格は相場より安い傾向にあるということをご説明しましたが、リースバックの家賃と買取価格はどのように決まるのでしょうか。

リースバックの家賃と買取価格の相場はいくらになるのか確認していきましょう。

リースバックしたときの家賃の相場は?

通常の賃貸物件では市場の家賃相場をもとに賃料が決められるものですが、リースバックでは市場の家賃相場を参考にしません

リースバックの家賃相場は、「買取価格の約10%=年間家賃」が目安です。

具体的に、リースバックの家賃は以下の式で求めることができます。

リースバックの家賃を求める計算式

リースバックの家賃(1ヶ月) = 買取価格 × 10%程度 ÷ 12ヶ月

例えば、リースバックの買取価格が1,000万円の場合、月々の家賃は以下のような計算で求めることができます。

「1,000万円 × 10% ÷ 12ヶ月 = 8万3,333円(月々の家賃)」

買取価格の約10%がリースバックの年間家賃相場になりますが、買取価格から算出する年間家賃の割合についてはリースバック業者によって異なります。

いずれにしてもリースバックの家賃設定は買取価格によって決まるため、市場の家賃相場よりも高くなる可能性は大いにあるということになります。

しかし、一般的には毎月の住宅ローンの支払いよりはリースバックでの月々の家賃の方が安くなる傾向があるため、リースバックを利用することによって月々の支払い負担は軽減される可能性があります。

ただし、通常の賃貸物件の家賃と違い、物件の劣化とともに家賃が下がるということはありません

あくまでリースバックにおいての家賃は買取価格に比例しているため、買取価格を高く設定すればその分家賃も値上がりする仕組みになります。

リースバックしたときの買取価格の相場は?

では、リースバックの買取価格の相場はどれくらいなのでしょうか。

一般的に、リースバックの買取価格は、市場で売却する価格より安くなり、数値にすると市場売却価格の6~8割程度とかなり低い買取価格になってしまう傾向があります。

これは、リースバック業者は投資用不動産として利回りを重視していることや、賃貸借期間終了後に再販して利益を得ることまで考慮していることが理由としてあげられます。

投資用不動産でいう利回りとは、次の計算式で求めることができます。

利回りの求め方

利回り = 1年分の家賃収入 ÷ 買取価格

リースバックの家賃相場は買取価格の10%程度とお伝えしましたが、それは利回りが10%ということです。つまり、リースバックでの買取相場は利回りでいうと10%前後ということになります。

つまり、買取価格を安く設定すれば、その分月々の家賃を抑えることができるでしょう。

また、リースバック業者はリースバックでの賃貸借契約期間が短ければ短いほど、市況変動のリスクが軽減されるため、買取価格が高くなる傾向にあります。

買取価格をできるだけ高くしたい場合には、複数の業者に査定依頼をすることが大切です。業者によって価格設定の方法は異なるため、各業者からの査定額を比較すると、相場価格より1~3割増しになることもあるのでできるだけ多くの業者に査定してもらいましょう。

リースバックの買取価格・利回り・家賃の関係表

リースバックの買取価格、利回り、家賃はそれぞれ関係しあっています。

これらをまとめたのが以下の表なので参考にしてください。

買取価格利回り家賃
300万円7%17,500円
300万円8%20,000円
300万円9%22,500円
300万円10%25,000円
500万円7%29,167円
500万円8%33,333円
500万円9%37,500円
500万円10%41,667円
1000万円7%58,333円
1000万円8%66,667円
1000万円9%75,000円
1000万円10%83,333円
1200万円7%70,000円
1200万円8%80,000円
1200万円9%90,000円
1200万円10%100,000円
1500万円7%87,500円
1500万円8%100,000円
1500万円9%112,500円
1500万円10%125,000円
1800万円7%105,000円
1800万円8%120,000円
1800万円9%135,000円
1800万円10%150,000円
2000万円7%116,667円
2000万円8%133,333円
2000万円9%150,000円
2000万円10%166,667円
2500万円7%145,833円
2500万円8%166,667円
2500万円9%187,500円
2500万円10%208,333円
3000万円7%175,000円
3000万円8%200,000円
3000万円9%225,000円
3000万円10%250,000円

リースバックの家賃を抑える方法をご紹介!

リースバックの家賃を抑える2つの方法

リースバックを利用すれば、現金を調達でき、なおかつ自宅に住み続けることができます。しかし毎月家賃を支払う必要があるので、できるだけ家賃を抑えたいと思うものでしょう。

以下から、リースバックの家賃を抑える方法について2つご紹介するのでぜひ参考にしてください。

①期待利回りの低い不動産リースバック業者を探す

リースバックをしたときの家賃の支払額を抑えたいのであれば、複数の不動産会社に相談することがマストです。

不動産会社によって設定する利回りは異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼することで家賃を比較することができます。

買取額が同じ金額の1,000万円だったとしても、リースバック業者が期待している利回りが以下のように異なる場合、家賃も大きく変動します。

  • 不動産リースバック業者の期待利回りが7% → 家賃 月58,333円
  • 不動産リースバック業者の期待利回りが8% → 家賃 月66,667円
  • 不動産リースバック業者の期待利回りが9% → 家賃 月75,000円
  • 不動産リースバック業者の期待利回りが10% → 家賃 月83,333円

このように、同じ買取価格であったとしてもリースバック業者が設定している期待利回りによって家賃が3万円近く異なるケースもあるため、家賃を重視するのであればできるだけ家賃設定が低い業者を利用すると良いでしょう。

また、賃貸借期間も不動産会社によって異なるため、ご自身の希望に合ったリースバックをするためにも複数の不動産会社に相談することでリースバックを失敗せずに済むでしょう。

複数の不動産会社を比較する時に買取価格や家賃にばかり目がいってしまうかもしれませんが、他にもリースバックの諸経費についても確認しておくことが大事です。主にリースバックでかかる諸経費は以下になります。

リースバックでかかる諸経費
  • 仲介手数料(リースバック業者が直接買い取る場合は不要)
  • 売買契約書の印紙代
  • 抵当権の抹消費用(抵当権が設定されている場合)
  • 司法書士への報酬(抵当権を抹消する場合)
  • 契約事務手数料
  • 保証料
  • 敷金・礼金
  • 火災保険料

業者によっては契約事務手数料や礼金を無料にしている場合もあるので、お得にリースバックすることができます。そのため、買取価格や家賃の額だけではなく、いくら諸費用がかかるのかもあわせてチェックすることをおすすめします。

②買取額を抑える

自宅を売却するなら出来る限り高い値段で売りたいと思うのが当たり前ですが、リースバックでは買取価格が安いほど家賃も安くなる傾向にあります。

リースバックで最低限必要な資金を明確にしておき、買取価格を必要以上に高く設定しなければその分家賃を安く抑えることが可能です。

また、リースバック業者との契約によっては「買い戻し」をすることが可能です。買い戻しとはその名の通り、リースバックを行った後、再度自宅を購入することができるというものです。ただし、リースバックでの売却時よりも安く買い戻せるという保証はありません。

むしろ、買い戻しでは、登記手続きの費用や業者の利益などに影響されて、売却時より高い価格になりやすい傾向にあり、買い戻し価格は買取価格の110~130%程度が相場になります。

そのため、もし買い戻しも視野に入れているのであれば、買取価格を抑えると買い戻しする際の価格も安くなるということを踏まえた上で検討しましょう。

業者によっては長く賃貸で利用するほど買い戻し価格が安くなるというサービスもあるので、そのあたりもチェックしておきましょう。

まとめ

手に家の模型を乗せて青空に向けている様子

リースバックの家賃は市場の家賃相場とは関係なく、買取価格は市場での売却価格より安くなる傾向にあります。

リースバックにおいての家賃と買取価格は比例しており、買取価格を高く設定すればその分家賃も高くなり、買取価格を安く抑えればその分家賃も抑えられます。

必要な資金と毎月支払える額のバランスをよく考えた上でリースバックを利用しましょう。

また、家賃や買取価格の設定方法はリースバック業者によって異なるため、リースバックを利用する際は必ず複数の業者に査定を依頼することをおすすめします。

業者によっては同じ買取価格であっても家賃が2~3万円違うこともあります。

複数のリースバック業者の条件を比較し、自身が一番重視している条件に合致する業者を選択すると良いでしょう。